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〒781-2105 高知県吾川郡いの町新町66

眼精疲労 事例3

10代のB様 「近視で内斜位」があります。

平成25年 当店処方で
R S−0.75D C−0.25D Ax165 1.0△ B.O.
L S−1.25D             1.0△ B.O.

で調製しました。
(S−は近視度数、Dは度数の単位、Axは乱視軸、△はプリズム、BOはプリズム基底の方向)

5mでの両眼開放屈折検査での基本度数は、
R S−1.00D C−0.75D Ax165 
L S−1.50D C−0.25D Ax180    
眼位検査では、内斜位は3△B.O.〜5△B.O.ぐらいでした。
検査方法によって斜位量は変化します。これは珍しいことではなく、しょっちゅうあることです。
視標によって刺激が異なり、検査道具によっても眼位に与える影響が異なるからです。

「ある検査では、外斜位。ある検査では内斜位になる」ということもあります。
ですから、眼位検査は慎重に行わないといけません。
特に、調節力が旺盛な10代のかたは眼位が不安定になりやすいです。時間をかけて複数の検査方法でより慎重に行います。

眼位は遠見眼位と近見眼位では変化することも多いですから、必要な場合は近見眼位もチェックします。
それで総合的に判断をして、プリズム矯正をご提案していきます。

B様の場合は眼精疲労があり、立体視が不良でした。
内斜位の場合、ビジョントレーニング(視機能トレーニング)での効果は期待し辛いです。
眼位を整えるには「球面調整」、「プリズム矯正」の方法があります。
球面調整は近視度数を弱くする(プラス寄りにする)ことになります。
弱くすることによって、近見での調節力が少なめですみ、それに連動する輻輳力(眼球を内側に寄せる力)も少なめになるので、「内斜位には好都合」というものです。

しかし、弱くするこにより遠見視力が犠牲になる場合があります。
学生様の場合、教室で離れた場所から黒板を見る必要がありますから、それではマズイことになりかねません。

「プリズム矯正もメリット、デメリットを考慮に入れて、ケースバイケースで考える」ということが原則です。



平成26年
B様は親御様とご一緒にご来店されました。
眼科発行の眼鏡処方箋を携えて。

眼鏡処方箋度数
R S−1.50D 
L S−2.00D             

でした。

ウーン、この度数で調製していいものかどうか。
B様は眼位に問題があることは平成25年のデータでわかっています。
「内斜位が自然に改善された」こともあるかも知れませんが、不安が一杯の処方です。

それで、当方から「こちらでも確認してみましょうか」とご提案しました。
親御様は「今回は、眼科処方で」とおっしゃいましたが、眼鏡技術者とすれば「はい、そうですか」とは言えません。
「どちらの処方で調製するのかはB様のご判断で」ということで、当店検査にOKをいただきました。

当店基本度数は
R S−1.75D C−0.50D Ax180 6.0△ B.O.
L S−2.25D C−0.75D Ax178          


やはり、内斜位はあります。
眼科には「今回はプリズム不要です。もし具合が悪ければ再処方します」と言われたそうです。

プリズムが必要か必要でないかの判断は視機能などの面を総合的に判断して決めるべきなのですが、眼科では詳しい視機能検査、眼位検査をした上で、装用テストなどをして「プリズム不要」と診断したのでしょうか?
おそらく、そういうことではないでしょう。

B様に眼科の検査のことをお聞きしますと、「ここでやってくれるほどの検査はしてくれなかった」とおっしゃいました。

プリズムに関しましては、いろんな考え方があり、「斜位はすべて矯正するべきだ。それが自然」とする考え方や、「斜位があっても、斜位の方向や融像力などを考慮に入れて部分的に矯正しよう」とする考え方もあります。私は主に後者の考え方です。

いずれにしましても、マトモな測定もなく、プリズム有無の装用テストもなく、プリズム不要の結論を出すのは、惰性だと思います。
いや、「メガネ屋のやることはけしからん!なのでプリズム不要」としたのかも知れません。

ところで、眼科処方箋にはPD(瞳孔間距離)が59mmと記載されていました。
が、B様の瞳孔距離は62mmです。
普通、光心をそのかたのPD(瞳孔中心間距離)に合わせて調製します。この作業を「心取り」と呼びます。

もし、光心とPDが合っていないとどうなるか。
そもそも眼鏡レンズはプリズムレンズの集合体と言えますから、視線とPDが一致していないとプリズム作用が生じることになります。
  
PD
と眼鏡レンズの光心が一致することによりプリズム誤差は生じません。
 
もし眼科処方通り、59mmで調製しますと、基底外方のプリズム作用が生じます。
これは結果的に内斜位を矯正するベースアウトプリズム(約0.5△プリズム)が入ることになります。
それを意図的に59mmにしたのならば、「プリズム不要」とは矛盾します。
そういうことは関係なしに、単純に瞳孔距離の測定がまずかったのかも知れません。 

 光心をPDよりも狭く入れることにより、基底外方のプリズム作用は耳側方向に働きます。
結果、内斜位のあるかたの開散力が緩和されます。

乱視に関しては、高い視機能のことを考えれば、乱視はできるだけ完全に矯正した方がいいのですが、完全に矯正することにより違和感が生じる場合があり、かえって眼が疲れたりクラクラしたりする場合もあります。

ですから、乱視度数もいろんな要素を考慮に入れて調製するべきなのですが、眼科処方では乱視の記載はありませんでした。この件に関しても「なぜ乱視は入れないのか」です。

もっとも、「乱視は必要ない」と考える眼科もあります。 必要ないと決めつければ、手間暇かけて乱視を詳しく検査する必要がありません。屈折検査そのものも大雑把になります。

  
当店は「クロスシリンダー」という」道具を使用して、乱視を細かく測定しています。
 この方法に両眼開放屈折検査を組み合わせれば、検出精度が一段と向上します。
当店提案度数、
R S−1.50D C−0.25D Ax180 3.5△ B.O.
L S−1.75D C−0.50D Ax178          

と、
眼科処方箋度数
R S−1.50D 
L S−2.00D 

を掛け比べていただきました。

当店検査度数のほうが「見やすくて楽、遠近感もわかりやすい」とおっしゃいました。
眼科処方度数は、眼科で試しているときも「しんどいと感じていたが、度数が変化しているから、こんなものと思っていました」とのことでした。
結果、当店提案度数で調製することになりました。

B様との共同作業でメガネを調製し、B様と当店の共同責任になります。

眼科には「もし、具合が悪かったら再処方する」と言われたそうです。
医療機関は結果責任を問われません。(その責任をメガネ屋に押しつける眼科もあります)
なので気楽にそういうことが言える面もあるのではないでしょうか。

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眼科は病気を治すことが本職で、病気ではない屈折異常、眼位異常に熱心に取り組んでいるところは少ないです。
ですから、視機能検査を細かく行う眼科は少ないですし、メガネ調製に必要な光学的知識には疎いです。
眼科では手間暇のかかる屈折検査、眼位検査、などをやる時間がないという事情もあります。
眼位に関する説明にも、相当の労力が入りますから。 

また、メガネ屋にもいろんな方針があり、商売優先で眼科との関係を結んでいる「眼科本位」の店もあります。
眼鏡技術者とすれば技術優先で「ユーザー本位」を考えるべきなのですが、いかんせんユーザー本位の店は少ないのが現実です。

 
なお、治療目的の処方(子供の遠視、弱視など)はメガネ屋ではできません。弱視の訓練、病気の発見なども眼科の仕事です。 
眼科とメガネ屋、それぞれに得手不得手もありますから、上手にメガネ屋と眼科をご利用していただければ幸いです。 

その後、B様の親御様にメガネの具合をお尋ねしました。
「具合よく使っています」とおっしゃっていただけました。
当店検査度数を選んでいただいてよかったです。(^^♪
  
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